たまには本気で会社法 その1~前編~

こんにちは!
スタッフの中村です。

始まりました不定期新連載
たまには本気で会社法
です。
その名のとおり、たまには真面目な記事でも書こうかしらんという企画です。

忘れたころにポツポツ更新していこうと思いますので、長い目でお付き合い下さい。

記念すべき第1回目となる今回は、『公益・一般社団法人への移行について~前編~』です。
なお、そもそも会社法ではないじゃあないかというご指摘は野暮です。

ご存知の方も多いと思いますが、既存の旧社団法人又は旧財団法人は、平成20年12月1日から5年内(平成25年11月30日まで)に公益法人又は通常の一般社団法人等への移行手続をしなければなりません。

準則主義になり、原則として一般法人は登記だけで簡単に設立できることになりましたが、これに対し、特例法人(移行による登記をしていない旧社団法人又は旧財団法人のこと)が公益法人又は一般法人に移行するには、それぞれ行政庁の認定又は認可が必要になるため、新制度に対応した機関設計や人選、基準を満たす事業内容の変更、これらを包含する定款変更案の作成など、長期的な検討及び準備が必要となります。

なお、今回は社団の手続を対象としております。
財団については、また別の機会に書こうと思います。

移行手続の流れは、概ね以下のとおりとなります。

  • 税務上の検討
  • 法務上の検討
  • 上記検討に基づき定款変更案を作成
  • 定款変更案を停止条件付きで承認
  • 移行後最初の役員等を停止条件付きで選任
  • 移行認定又は認可申請
  • 認定又は認可取得後、2週間以内に登記申請
  • 旧主務官庁に届出

移行手続として、まず初めに検討すべき事項は、どの類型の法人を目指すのかについてです。
法人法及び公益認定法上は、一般社団法人と公益社団法人の2種類が規定されておりますが、税制上も含めて検討すると次の3種類に区分されます。

  1. 公益社団法人
  2. 非営利型の一般社団法人(非営利制が徹底された法人、共益的活動を目的とする法人)
  3. 非営利型以外の一般社団法人

それぞれの税制上の大きな特徴は、次のとおりです。

1.公益社団法人

  • 公益目的事業(34種類の収益事業を除く)に対して法人税は非課税
  • 34種類の収益目的事業に対しては、法人税率30%
    (所得金額800万円以下については22%)
  • みなし寄附金制度あり

2.一般社団法人(非営利型)

  • 公益目的事業(34種類の収益事業を除く)に対して法人税は非課税
  • 34種類の収益目的事業に対しては、法人税率30%
    (所得金額800万円以下については22%)
  • みなし寄附金制度なし

3.一般社団法人(非営利型以外)

  • 原則として税率の優遇はなく、一般の法人と同じ税率
  • みなし寄附金制度なし

お気づきでしょうか。
1.公益社団法人と2.一般社団法人(非営利型法人)の法人税率が同じである点に。 その代わり、2.一般社団法人(非営利型法人)には、みなし寄附金制度(収益事業に属する資産のうちから公益目的事業のために支出した金額を寄附金とみなす制度のこと)がありません。

公益社団法人に移行するためには、認定申請をはじめ、基準を満たす機関設計や役員選任等大きな労力を必要とし、さらに、移行後に法人として事業活動していく上でも様々な厳しい基準があります。
それにも関わらず、公益社団法人と一般社団法人(非営利型法人)の法人税率は、同じ税率になります。
この点に着目すると、一般社団法人(非営利型法人)は、だいぶオトクな感じがしますね。
この類型を選択する大きなメリットのひとつと言えると思います。

だいぶ長くなりましたので、続きは次回にします。

では。

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