遺産分割の禁止

司法書士のもみきです。

今日は8月から始めた所内勉強会の第4回目。テーマは遺産分割。

相続が発生すると、相続人はいつでも遺産分割協議を行って相続財産を承継することができるのが原則ですが、これには以下の例外があります。

1.被相続人が遺言で遺産分割を禁止した場合

被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができます。

  • 相続財産が自宅の土地建物しかないような場合で、相続人が年老いた妻と子2名というような場合に、妻には住み慣れた自宅で生涯を過ごして欲しいが、子らが自宅を売却して妻を施設に入れてしまうかもしれないので当面は遺産分割できないようにしておきたい・・・。
  • 相続財産の中に自分が経営している会社の株式がある場合で、株式を複数の相続人に分散して相続されてしまうと会社経営にとってマイナスになってしまうので分割できないようにしたい・・・。

など、利用の場面はいくつか考えられますが、期間が5年に限られていること。また、遺言執行者がいない場合か、遺言執行者がいた場合でもその執行者が同意した場合には、禁止された期間内でも相続人全員の協議で遺産分割を行うことはできますのでその点注意が必要です。

2.共同相続人の協議で遺産分割を禁止した場合

  • 遺言書はなかったが、(1)で例示したような場面が相続人間で持ち上がった・・・。
  • 遺産分割協議の話し合いがまとまらないが、家庭裁判所に持ち込んで決着をつけるのではなく、しばらく期間を置いてから話し合いをしたい・・・。

などの場合に利用できるかもしれません。

こちらも期間は5年に限られていますが、5年経過後に相続人の協議で再度5年を超えない期間を定めて遺産分割を禁止することは可能ですし、もともと相続人の協議で禁止したことなので、相続人全員が合意すれば禁止された期間内に遺産分割協議を行うことは可能です。

3.家庭裁判所が遺産分割を禁止した場合

家庭裁判所は遺産分割調停や審判の中で、「特別の事由」があるときは、一定期間、遺産分割を禁ずることができるとされています。

「特別の事由」とは、相続人の範囲や相続財産の範囲が定まらないような場合。例えば、ある財産が被相続人の遺産に含まれるかどうかについて争いがある場合や相続人の一人に被相続人との間の親子関係不存在確認訴訟が提起されていて相続人の範囲が定まらないような場合に、それらが明らかになるまでは遺産分割を禁止するのが適当であろうとの判断があった場合などが想定されているようです。

具体的な案件として遺産分割を禁じた遺言書や遺産分割を禁ずる相続人の協議の場面にあたったことはないのですが、このような知識を思い起こす意味でも所内勉強会は役に立っています。

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