法務局における自筆証書遺言書保管制度

こんにちは。行政書士の青柳です。

2019113日から改正相続法が段階的に施行されていることについて御存じの方も多いかと思います。
その一環として、2020710日から「法務局における自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度」の取り扱いがスタートしました。

従来、自筆証書遺言の欠点として以下の3点が指摘されていました。
 ① 遺言者(遺言を書いた人)の意思確認をする人がいない
 ② 保管場所や保管者の定めがない
 ③ 偽造、変造、隠匿の恐れがある
自筆証書遺言としての要件(法律的な効果を生むために必要なこと)が揃っていれば、その効果は公正証書遺言と変わるところはありませんが、今回の制度はこれらの欠点を補う役目を果たすのも目的と言えるでしょう。

私自身もこの制度を利用し、先日管轄法務局に自分の遺言書を保管してきました。自筆証書遺言の保管制度と公正証書遺言の作成についてはもちろんそれぞれメリット・デメリットを感じる方もいらっしゃるかと思いますが、この保管制度を利用するメリットの1つとして、「関係遺言書保管通知」と「死亡時の通知」が挙げられると思います。

法務局のHPに掲載されている説明文の一部を要約すると
『関係遺言書保管通知』
 →遺言書保管所に保管されている遺言書について、遺言者の死亡後、相続人や遺言書に記載されている
  受遺者、遺言執行者等(以下、「関係相続人等」という)が,その遺言書を閲覧したり、遺言書情報
  証明書の交付を受けたときに、遺言書保管官が、その他の関係相続人等に対して遺言書保管所に遺言
  書が保管されている旨を通知する。これにより、その他の全ての関係相続人等に遺言書が保管されて
  いることが伝わる。

『死亡時の通知』
 →遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認した場合には,あらかじめ遺言者(希望した遺言者のみ)
  が指定した者(遺言者の推定相続人並びに遺言書に記載された受遺者等及び遺言執行者等から1名)
  に遺言書が保管されている旨を通知する。
というものです。

これにより、遺言者の死後に遺言書自体が関係相続人等に発見されず、遺言の内容が実現しないというリスクは無くなります。

ただし、この自筆証書遺言保管制度はあくまでも保管制度なので「その自筆証書遺言の内容がちゃんと法律的な要件を満たしているか」までの審査はしてくれません。遺される相続人や受遺者のことを想い、折角自筆証書遺言書を作成して預けたにもかかわらず、いざ開封してみたら自筆証書遺言書として有効に使えなかった、ということにならないよう事前にしっかり準備することが重要です。

当事務所では、公正証書遺言書の作成はもちろん、この自筆証書遺言保管制度に関するご相談や事前の確認も承っておりますので、いつでもお気軽にご相談下さい。

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